2009年2月6日金曜日

ちょっとお奨めの1冊

以前勤めていた会社で、役職者宛に送っていた業務報告に雑記としてそのときごとの気分で色々書いていました。
その時に「論語と韓非子」を両方読んでおくとためになる、というような趣旨の雑文を書いたことがあるのですが、昨年、そのためにぴったりな本が出版されました。

右手に「論語」 左手に「韓非子」 現代をバランスよく生き抜くための方法】
(角川SSC新書 著者:守屋 洋)

前半は論語からの抜粋を解説、後半は韓非子からの抜粋が解説してあります。

「論語」は儒教の祖ともいうべき孔子の思想や言動をまとめたもので、韓非子は法家主義の原典ともいうべきものです。どちらも紀元前の中国・春秋戦国時代のものです。
儒教は日本や朝鮮などで精神的支柱として広まり、朝鮮はかつて「礼の国」として名を馳せましたし、日本では武士道などにも儒教の考え方が取り入れらました。秦の始皇帝は韓非子をもとに法による中央集権を確立してつ戦国を勝ち抜き中国に強力な統一国家を作りました。

儒教というと太平洋戦争の悪しきイメージを持つ人も居るかもしれませんが、本来は人間性善説を土台にした「徳治主義」という一種の理想的政治論を説いたものです。

一方の韓非子は人間性悪説を土台とした思想で、法によって律することで国を治めるという考え方を説いたものです。韓非子はその書物の名称でもありますが著作者自身の尊称でもあります。

個人的には以前からその両者のバランスをもって組織運営や人間同士の関係を考えるべきだと思っていたので、一度この本をブログ紹介しようと以前から考えていた次第です。

ちなみに中国古典思想では「孫子」が有名ですが、「孫子」+「韓非子」-「戦争の仕方」≒マキャベリの「君主論」みたいな感じです。

あと、韓非子は性悪説に拠っていますが、韓非子自身は自らの思想を絶対のものとはしていなかったようで、非常時と平時での使い分けが必要と考えていたようです。特に自らの説く思想は非常時にこそ、より有効なものと考えていたらしいです。韓非子の考えでは、中国戦国時代では孔子の徳治主義では生ぬるい、というか時代に合わないと言う立場だったような話を別な本で読んだことがあります。

ちょっと堅苦しい話になりましたが、今回紹介している本自体は読みやすい書き方になっているので、興味のある方は自己啓発として手にとってみるのもいいかもしれません。

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