2008年11月20日木曜日

工事進行基準のこと

2009年4月からシステム開発・ソフトウェア開発にも「工事進行基準」という会計基準が適用義務になることは、今さら自分あたりが詳細を解説するまでもなく、多くの方があちこちで行ってくれています。

実際、大手のSI企業やベンダーでは準備や対応に入っており、既にテストケースとしていくつかのプロジェクトについては工事進行基準を適用しているような企業もあるようです。

しかしながら、中小のソフトハウスやITサービス企業ではまだその事についてあまり知らなかったり、知ってはいても具体的にどう影響があるか考えていない、あるいはわからない、特に対応を検討していない、というケースも少なくないようです。

受託開発をおこなっていない、大型プロジェクトなど自社では受注していない、もっぱら派遣や準委任などで技術者を元請企業に送り込むだけだからあまり影響は無い、そんな考え方をしているところもあるのではないでしょうか?

個人的な見解ですが、派遣や準委任中心のソフトハウスなどにも、しっかりと影響が出ると思います。

納品・検収の際に帳尻があえば済んでいたこれまでと違って、長期プロジェクトを四半期単位で売上計上することになれば、当然その売上に相対する原価もきっちりと管理・把握することになりますから、それだけ精度の高い原価見積を必要とします。そして、その原価が容易にブレてしまうことを避ける発想が元請サイドには出てくるのではないでしょうか?

ハイスキルの技術者に1人月80万円支払っても見積工数内で収まれば原価の想定は崩れませんが、1人月50万円のロースキルな技術者を投入した結果工数が大幅に超過となり、結果として90万円の原価に膨らんだり、進捗が遅れたため要員追加で1人月分原価が増える、という事態を元請企業は避けることを考えるようになると思います。

そうすると、作業時間に対して対価を支払う準委任や派遣ではなく、月額の固定単価となる請負や成果に対する対価という形での契約、または準委任にしても元請がリスク回避のために1人月の基準時間上限を今までより上げて設定する契約が増える可能性があるのではないかと思います。

これは技術者をプロジェクトに常駐で投入している中小ソフトハウスなどにとって、今までの収益性やビジネスモデルを揺るがす大きな問題ではないでしょうか?

もちろん長期プロジェクトとか大型プロジェクトを直接受託する企業もプロジェクト管理のレベルが甘いと大変なことになるので、冒頭にも書いたように大手企業はすでに対策・対応を始めているわけですが中小クラスの企業でも決算をまたぐような受託とか少し大きめの受注があれば直接対応が必要ですしね。

と、思うのですが、実際にどうなっていくでしょうね。
2009年4月以降、この工事進行基準は、既に問題として表面化していた偽装請負や多重派遣問題とも絡んで確実に影響出ると思っているのですが、それがマイナスの原因となるかプラスに転じるチャンスとなるかはこれからの考え方や対応次第なんでしょうね。自分のところも弱小ソフトハウスなので他人事ではありませんけど。

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